上野の恩賜公園の不忍池には、かなり広い池一面に蓮が密集して育ち
7月の末から8月にかけて花が咲きます。
その光景を初めて見たのは、もう何年も前の事でしたが、
目の前に拡がる蓮の群落を見て、
何とも言えない不気味さを感じたのです.....

池の中にある弁天堂も、昔は浮き島だったものが今は渡り道路も出来て、行き来が出来るのだが、弁天堂とその後ろに林立するビル群と蓮が、何とも不可思議で面白い!この不忍池の蓮は、浮世絵にもあるように、江戸時代の頃からあり、でも江戸時代には、上野動物園も無ければ、そびえ立つビルなんてものももちろんあるわけないので、上野の地に広大と拡がる蓮の緑は、夏の暑さの中で涼しさをよび、人々で賑わった場所でもあったのでしょう。でも、戦争中には池をつぶして、水田にしたそうな.....
この一面の蓮を見ていると、
吸い込まれそうな、足がすくむような感覚があるのです。
人の背の高さもあるような育った蓮の池に、足を捕われてしまうと
蓮の葉に隠されてしまって這い上がってこられなくなるような....
思わず後ずさりしてしまった昔の記憶があるので、
上野に行ってもこの不忍池には行こうとは思わなかったのですが、
何故か今回、行ってしまいました。
改めて見ると、やはりその不気味さを感じてしまいました。
でも、仏教では、蓮の池は、西方浄土の極楽として信じられているし、
大輪の花と透明感のあるきれいな色は極楽の花なのかもしれないが.....
咲き誇った大輪の花よりも風に吹かれて散りだした花や、
花びらを散り落として花床だけになった茎や、
これから咲く葉の陰にある蕾には、
見逃さずにはいられない感じがあり、写真を撮っていました。
ついでに、この蓮の泥の中にある根は、レンコンで、私は
レンコンは美味しく大好きだし、蓮の実も美味しい。
他に茎も葉も花ですらも全て食べられるのに
この蓮の池だけは不気味というのも、矛盾しているかな....